ヘパリン類似物質ローションの自主回収について ― 発がん性の心配は?
2026年10月27日

先日、日東メディック株式会社の「ヘパリン類似物質ローション0.3%『NIT』」について、自主回収が発表されました。
ヘパリン類似物質は、皮膚科では保湿剤として日常的に処方されている薬剤です。今回の回収は、製剤中から発がん性が懸念されるニトロソアミン類の一種「N-ニトロソジイソプロパノールアミン」が検出されたことによるものです。
実際に健康への影響はあるのでしょうか?
今回問題となったのは、ヘパリン類似物質という有効成分そのものではなく、製剤中に生成された不純物です。
ニトロソアミン類には発がん性が懸念されるものがあり、医薬品では長期間にわたる曝露を想定して、厳しい管理基準が設けられています。
ただし、基準値を超えたからといって、直ちに健康被害が生じるというわけではありません。
今回の製品は2024年6月から発売されており、実際の使用期間は比較的短いものです。メーカーも、これまでの使用によって生涯の発がんリスクが著しく高まる可能性は極めて低いと説明しています。
また、今回の製品は内服薬ではなく外用薬です。皮膚からの吸収量は物質の性質や皮膚の状態などによって異なりますので、経口摂取と同じように評価することはできません。ただし、今回の不純物の経皮吸収について十分な情報があるわけではなく、外用薬だから絶対に安全と言い切ることもできません。
現時点で公表されている情報から判断する限り、これまでに使用していた患者さんが、過度に発がんリスクを心配する必要性は低いと考えています。
現在使用している方へ
今回の自主回収は、指定された製造ロットが対象であり、すべてのヘパリン類似物質製剤が回収されているわけではありません。
お手元の製品が回収対象に該当する場合は、使用を控え、調剤薬局や処方元の医療機関にご相談ください。
最後に
医薬品の品質管理という点では、今回の問題は決して軽視できるものではありません。一方で、「発がん性物質が検出された」という情報だけが独り歩きし、実際のリスク以上に不安が広がることも懸念しています。
医療において重要なのは、危険性があるかないかだけでなく、そのリスクがどの程度なのかを適切に評価することだと思います。
メーカーには原因の究明と再発防止を求めたいところですが、患者さんには必要以上に心配せず、冷静に対応していただければと思います。
参考資料






